症状を「コントロール」するとは具体的にどのようなことなのでしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの4番目の質問です。

ぜんそくの薬を服用したり、原因抗原を避けたり、タバコを避けたり、風邪・過労・ストレスなどの増悪要因を避けたりすることでぜんそく症状がでないようにすることを、ぜんそくをコントロールするといいます。ぜんそくがでないように予防する薬をコントローラーと呼びますが、近年、有効性・安全性ともに高い薬剤が複数開発されました。その結果、大部分の患者さんは、コントローラーを毎日服用することや環境を調整することでぜんそくをコントロールすることができます。

医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12

ぜんそくは現代人に増えている疾患と言われますが、その要因は何でしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの3番目の質問です。

ぜんそくの有症率は、1960年代が1%程度であったものが2000年はじめまでに小児で10%以上、成人で6-10%と報告されていますから、確かに現代人に増えています。
ぜんそくは、複数の遺伝要因と複数の環境要因の相互作用で発症する多因子疾患と考えられています。遺伝要因は変化しませんから、私たちを取り巻く環境が、この半世紀の間にぜんそくが発症しやすい方向に変化したのだと思います。
環境の影響に関する研究では、胎児期から生まれて早い時期の環境の影響が大きいと言われています。中でも、大気汚染、食べ物、アレルゲン、微生物、抗生物質の使用などがぜんそく発症と関連していると言われています。
大気汚染に関しては、喫煙の影響が大きいと言われています。親が喫煙した場合に子供のぜんそく発症のリスクが増えますし、妊娠中の母さんがたばこを吸うと、生まれてきた子供がぜんそくになる率が高いと言われています。20代、30代の女性の喫煙率は少し前まで増加していましたから関連があるかもしれません。ぜんそくの原因アレルゲンの中で最も主要なものはチリダニです。チリダニの量が多い環境の方がぜんそくが発症しやすいことが知られています。現在の密閉性の高い家屋でチリダニの量が増えたのかもしれません。清潔できれいな環境で育った方がぜんそくの発症率が高いと言われています。衛生仮説と呼ばれています。また、妊娠中ないしは、生後1年以内に抗生物質を投与された子の方がぜんそくを発症する率が高いという研究もあります。衛生的な生活や抗生物質のおかげで乳幼児の感染症による死亡は激減しましたが、その一方、ぜんそくが増えた要因になっているのかもしれません。

医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12

発症するのは子供が多いイメージですが、大人でも発症するのでしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの2番目の質問です。

ぜんそくは、小児期、特に乳児期に発症のピークがあり、その後は全ての年齢層で少しづつ発症します。成人発症の患者さんに限れば、比較的中高年に発症する方が多いと言われています。私は主に大人の患者さんを診ていますが、ざっくり言うと、成人の患者さんの半分が小児期発症で、残り半分が成人してからの発症というイメージです。70歳や80歳でぜんそくを発症される方もおられます。

医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12

ぜんそくの症状とは、どのようなものなのでしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの最初の質問です。

ぜんそくの症状は、発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などです。症状の変動が大きいことと、また、長い期間の中で繰り返しこれらの症状がでることが特徴です。
日にちの単位で見ると夜中から明け方にかけて症状がでることが多く、昼間は大丈夫だけれど夜中明け方に咳をしたりぜいぜいと呼吸が苦しくなって起き上がってしまうことがあります。年単位で見ると季節の変わり目、すなわち秋と春に症状が出やすい傾向があります。また、風邪・過労・ストレスをきっかけにぜんそくがでることが多いのも特徴です。
なお、ぜんそくの症状の起きる頻度は人によって異なり、数年に1回の人から、週に何回も起きる人まで様々です。

医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12

気管支喘息 —- 咳で目が覚める方へ

☆咳や息苦しさで目が覚めるのは、喘息のはじまりかもしれません。
気管支喘息は、咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難などの症状が発作性に起きる病気です。調子の良い時は症状がありませんが、風邪などをきっかけに発作が起きます。最初は、咳ではじまり重症化すると日常的に発作がでるようになり治りにくくなります。発作は、しばしば夜中から明け方にかけておき、昼間は症状がない場合もありますが、ほうっておくと、大きな発作を起こし命にかかわることもあります。

☆喘息では気管支が狭くなり息がしにくくなります。
喘息発作は、気管支が腫れたり収縮したりして狭くなることで空気が通りにくくなることで起きます。ですから、喘息の検査には、気管支が狭くなっていることを反映する肺機能検査、気管支の炎症を反映する痰の検査や、アレルギー検査があります。また、咳・喘鳴・呼吸困難などの症状は喘息以外の病気でも起きますので、胸のレントゲン写真や、一般血液検査で他の病気でないことを確認する必要もあります。

☆吸入ステロイドは、副作用の少ない喘息の特効薬です。
気管支が狭くなる原因は、慢性炎症であると考えられています。理論的には、炎症の原因となるダニなどのアレルゲンを除去すれば喘息が起きなくなるはずです。実際、小児ではある程度の効果がありますが、成人ではほとんど効果がありません。これは、アレルゲンの除去は難しい上に、成人喘息にはアレルギー以外の要因もあるからだと考えられています。ですからステロイド呼ばれる炎症を抑える効果の高い薬が使われます。この薬は、副腎皮質ホルモンと呼ばれるホルモンの仲間で、内服や注射で長期に使うと大きな副作用を起こします。しかしながら、吸入で使うと全身にはほとんど吸収されないので、軽い副作用しかありません。副作用が少なく効果が高いので、喘息治療の中心的な役割を果たしています。発作の場合、気管支周囲の筋肉が収縮することで気管支が狭くなり急に呼吸が苦しくなります。すぐ効く薬として、気管支周囲の筋肉の緊張をとる気管支拡張剤があり、吸入ステロイドと併せて使用するのが標準的な治療です。

☆喘息はほうっておくと難治化することがあります。
患者さんの中には、副作用や薬がくせになると心配されて、薬を使うことをためらう方もおられます。しかしながら、喘息もまた、くせになるということを知っておくべきでしょう。発作を放置すると、気管支周囲の筋肉が太くなり、腫れていた気管支が厚いまま固まり元に戻らなくなります。そうすると、普段から息切れするようになり、また、ちょっとしたことで発作が起きるようになって難治化します。早めに治療することが、喘息の重症化を予防し結局は薬を使う量も少なくて済むことになります。ですから、繰り返す咳、喘鳴、呼吸困難などの症状に心当たりのある方は是非ご相談ください。