ぜんそくは現代人に増えている疾患と言われますが、その要因は何でしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの3番目の質問です。

ぜんそくの有症率は、1960年代が1%程度であったものが2000年はじめまでに小児で10%以上、成人で6-10%と報告されていますから、確かに現代人に増えています。
ぜんそくは、複数の遺伝要因と複数の環境要因の相互作用で発症する多因子疾患と考えられています。遺伝要因は変化しませんから、私たちを取り巻く環境が、この半世紀の間にぜんそくが発症しやすい方向に変化したのだと思います。
環境の影響に関する研究では、胎児期から生まれて早い時期の環境の影響が大きいと言われています。中でも、大気汚染、食べ物、アレルゲン、微生物、抗生物質の使用などがぜんそく発症と関連していると言われています。
大気汚染に関しては、喫煙の影響が大きいと言われています。親が喫煙した場合に子供のぜんそく発症のリスクが増えますし、妊娠中の母さんがたばこを吸うと、生まれてきた子供がぜんそくになる率が高いと言われています。20代、30代の女性の喫煙率は少し前まで増加していましたから関連があるかもしれません。ぜんそくの原因アレルゲンの中で最も主要なものはチリダニです。チリダニの量が多い環境の方がぜんそくが発症しやすいことが知られています。現在の密閉性の高い家屋でチリダニの量が増えたのかもしれません。清潔できれいな環境で育った方がぜんそくの発症率が高いと言われています。衛生仮説と呼ばれています。また、妊娠中ないしは、生後1年以内に抗生物質を投与された子の方がぜんそくを発症する率が高いという研究もあります。衛生的な生活や抗生物質のおかげで乳幼児の感染症による死亡は激減しましたが、その一方、ぜんそくが増えた要因になっているのかもしれません。

医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12