領収書をとっておきましょう。

医療費が高額になった場合に経済的にどうしようかと不安に思われる方も多いと思います。そのような場合、健康保険の高額療養費制度や税金の医療費控除の制度があり、経済的な負担を減らすことができます。これらの制度を利用する場合、領収書が大切な資料になりますが、一般的に領収書の再発行はできません。ですから医療機関を受診された場合、領収書は絶対に捨てないでとっておきましょう!

肺気腫 ( COPD ) —- 息切れする方へ

☆階段や坂道で息切れするのは肺気腫の最初の症状なのかもしれません
肺気腫とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、おおむね同じ病気で、階段や坂道での息切れが最初の症状です。たばこが原因で、肺が徐々に障害されていく慢性の進行性の病気です。風邪などをきっかけに、咳、痰、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難などの症状がひどくなり、病院を受診してみつかる場合もあります。たばこを吸い続けると、進行してじっとしていても呼吸困難をきたすようになり、酸素吸入が日常的に必要になる場合もあります。

☆肺気腫では気管支が狭くなり息がしにくくなります。
肺気腫では、肺が障害され気管支が脆弱になります。その気管支の閉塞をみる肺機能検査や肺の障害の有無を画像としてみることができるCT検査で診断されます。喘息と症状が似ていますが、発作ではなく日常的に動いた後の息切れではじまり、たばこを吸われる高齢者に多いのが特徴です。

☆禁煙が進行をおさえる唯一の方法です。
たばこが原因ですので、禁煙が進行をおさえる唯一の方法です。息を思い切り吸い込んで、一気に吐き出した時最初の1秒間に吐き出される量を一秒量と呼びますが、これが肺気腫の診断・重症度をみる指標になります。一秒量は20代で3000から4000mlありますが、年齢を重ねると徐々に減っていきます。たばこを吸わない健康な方で1年間に約30ml、たばこを吸う方で約60 ml減っていくといわれています。この差が10年単位で考えると大きな差となり、年を重ねた時の息切れの有無につながります。禁煙すれば、すでに失った部分を取り返すことはできませんが、それ以上悪くなることを防ぐことができます。

☆息切れを改善するお薬があります。
障害された肺をもとに戻す薬はありませんが、気管支を広げて呼吸を楽にする薬はあります。喘息で使われる気管支拡張剤や吸入ステロイドが効果がります。また、重症のケースでは、酸素療法が動作を楽にし、また寿命を延ばす効果が知られていますので、是非ご相談ください。

気管支喘息 —- 咳で目が覚める方へ

☆咳や息苦しさで目が覚めるのは、喘息のはじまりかもしれません。
気管支喘息は、咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難などの症状が発作性に起きる病気です。調子の良い時は症状がありませんが、風邪などをきっかけに発作が起きます。最初は、咳ではじまり重症化すると日常的に発作がでるようになり治りにくくなります。発作は、しばしば夜中から明け方にかけておき、昼間は症状がない場合もありますが、ほうっておくと、大きな発作を起こし命にかかわることもあります。

☆喘息では気管支が狭くなり息がしにくくなります。
喘息発作は、気管支が腫れたり収縮したりして狭くなることで空気が通りにくくなることで起きます。ですから、喘息の検査には、気管支が狭くなっていることを反映する肺機能検査、気管支の炎症を反映する痰の検査や、アレルギー検査があります。また、咳・喘鳴・呼吸困難などの症状は喘息以外の病気でも起きますので、胸のレントゲン写真や、一般血液検査で他の病気でないことを確認する必要もあります。

☆吸入ステロイドは、副作用の少ない喘息の特効薬です。
気管支が狭くなる原因は、慢性炎症であると考えられています。理論的には、炎症の原因となるダニなどのアレルゲンを除去すれば喘息が起きなくなるはずです。実際、小児ではある程度の効果がありますが、成人ではほとんど効果がありません。これは、アレルゲンの除去は難しい上に、成人喘息にはアレルギー以外の要因もあるからだと考えられています。ですからステロイド呼ばれる炎症を抑える効果の高い薬が使われます。この薬は、副腎皮質ホルモンと呼ばれるホルモンの仲間で、内服や注射で長期に使うと大きな副作用を起こします。しかしながら、吸入で使うと全身にはほとんど吸収されないので、軽い副作用しかありません。副作用が少なく効果が高いので、喘息治療の中心的な役割を果たしています。発作の場合、気管支周囲の筋肉が収縮することで気管支が狭くなり急に呼吸が苦しくなります。すぐ効く薬として、気管支周囲の筋肉の緊張をとる気管支拡張剤があり、吸入ステロイドと併せて使用するのが標準的な治療です。

☆喘息はほうっておくと難治化することがあります。
患者さんの中には、副作用や薬がくせになると心配されて、薬を使うことをためらう方もおられます。しかしながら、喘息もまた、くせになるということを知っておくべきでしょう。発作を放置すると、気管支周囲の筋肉が太くなり、腫れていた気管支が厚いまま固まり元に戻らなくなります。そうすると、普段から息切れするようになり、また、ちょっとしたことで発作が起きるようになって難治化します。早めに治療することが、喘息の重症化を予防し結局は薬を使う量も少なくて済むことになります。ですから、繰り返す咳、喘鳴、呼吸困難などの症状に心当たりのある方は是非ご相談ください。