慢性呼吸不全―いつも息切れを感じている方へ

☆慢性呼吸不全は酸素が足りない状態です。
呼吸器の病気が進行すると、十分に酸素が取り込めなくなる場合があります。常に酸素が足りず、いつも息苦しさを感じます。この状態を慢性呼吸不全と呼びます。

☆慢性呼吸不全の原因
慢性呼吸不全の原因として最も多いのは肺気腫(COPD)で、次いで結核後遺症、肺線維症、気管支拡張症、肺がん術後、側彎症などが原因となります。これらの病気が進行すると慢性呼吸不全になり酸素が必要なります。こういった病気の方は、禁煙はもちろんのこと、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種、過労を避けるなどの一般的な注意に加えて、専門の先生に定期的に診てもらうことが大切です。

☆急性増悪
慢性呼吸不全の患者さんが経過中に、咳や痰が増えいつもより呼吸が苦しくなることがあります。風邪などをきっかけに気道感染を起こすことが原因となる場合が多いのですが、これを急性増悪と呼びます。通常よりたくさんの酸素が必要となりますし、入院治療が必要な場合もあります。

☆在宅酸素療法について
酸素が足りないわけですから、酸素吸入が大きな助けとなります。酸素療法には、慢性呼吸不全の患者さんの日常生活を楽にし、寿命を延ばし、急性増悪の回数を減らすなど大きな効果があります。そこで、ご自宅で酸素を吸入できるようにしたのが在宅酸素療法です。電気で酸素を作る酸素濃縮器と外出用の酸素ボンベの組み合わせが一般的ですが、液体酸素を使う方法もあります。

☆非侵襲的陽圧人工換気療法(NPPV)
酸素吸入だけでは足りず、機械的に呼吸を補助することが必要な患者さんもおられます。顔に密着させたマスクを通して、空気や酸素を押し込むといった感じで呼吸を補助します。眠ると呼吸が弱くなる患者さんが、夜間にこの療法で呼吸を補助すると楽になります。

☆医療費の助成制度
在宅酸素療法の医療費は月に約8万円です。しかし、健康保険の適応となっており、お薬代などを含めても、月に3割負担で3万円弱、1割負担で1万円弱となります。しかし、重症の患者さんには、身体障害者福祉法や特定疾患(難病)克服研究事業などの医療費の助成制度があるのでご安心ください。