☆咳や息苦しさで目が覚めるのは、喘息のはじまりかもしれません。
気管支喘息は、咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難などの症状が発作性に起きる病気です。調子の良い時は症状がありませんが、風邪などをきっかけに発作が起きます。最初は、咳ではじまり重症化すると日常的に発作がでるようになり治りにくくなります。発作は、しばしば夜中から明け方にかけておき、昼間は症状がない場合もありますが、ほうっておくと、大きな発作を起こし命にかかわることもあります。
☆喘息では気管支が狭くなり息がしにくくなります。
喘息発作は、気管支が腫れたり収縮したりして狭くなることで空気が通りにくくなることで起きます。ですから、喘息の検査には、気管支が狭くなっていることを反映する肺機能検査、気管支の炎症を反映する痰の検査や、アレルギー検査があります。また、咳・喘鳴・呼吸困難などの症状は喘息以外の病気でも起きますので、胸のレントゲン写真や、一般血液検査で他の病気でないことを確認する必要もあります。
☆吸入ステロイドは、副作用の少ない喘息の特効薬です。
気管支が狭くなる原因は、慢性炎症であると考えられています。理論的には、炎症の原因となるダニなどのアレルゲンを除去すれば喘息が起きなくなるはずです。実際、小児ではある程度の効果がありますが、成人ではほとんど効果がありません。これは、アレルゲンの除去は難しい上に、成人喘息にはアレルギー以外の要因もあるからだと考えられています。ですからステロイド呼ばれる炎症を抑える効果の高い薬が使われます。この薬は、副腎皮質ホルモンと呼ばれるホルモンの仲間で、内服や注射で長期に使うと大きな副作用を起こします。しかしながら、吸入で使うと全身にはほとんど吸収されないので、軽い副作用しかありません。副作用が少なく効果が高いので、喘息治療の中心的な役割を果たしています。発作の場合、気管支周囲の筋肉が収縮することで気管支が狭くなり急に呼吸が苦しくなります。すぐ効く薬として、気管支周囲の筋肉の緊張をとる気管支拡張剤があり、吸入ステロイドと併せて使用するのが標準的な治療です。
☆喘息はほうっておくと難治化することがあります。
患者さんの中には、副作用や薬がくせになると心配されて、薬を使うことをためらう方もおられます。しかしながら、喘息もまた、くせになるということを知っておくべきでしょう。発作を放置すると、気管支周囲の筋肉が太くなり、腫れていた気管支が厚いまま固まり元に戻らなくなります。そうすると、普段から息切れするようになり、また、ちょっとしたことで発作が起きるようになって難治化します。早めに治療することが、喘息の重症化を予防し結局は薬を使う量も少なくて済むことになります。ですから、繰り返す咳、喘鳴、呼吸困難などの症状に心当たりのある方は是非ご相談ください。