タミフル耐性インフルエンザの治療

一般にも報道されているように、現在流行しているインフルエンザの3分の1はタミフルが効かない可能性があります。以下に、インフルエンザの薬、流行している型、耐性の状況についてまとめてみました。

インフルエンザに効果のある薬は、リレンザ、タミフル、シンメトレルの3種類です。流行しているインフルエンザウィルスは、Aソ連型、A香港型、B型の3種類です。全国のインフルエンザウイルス分離・検出状況(平成21年1月15日時点)をみると、Aソ連型243件(36%)、A香港型303件(45%)、B型125件(19%)と、いずれの型も流行していることがわかります。耐性に関しては、
1) リレンザは、耐性株の報告がなく、これらいずれの型にも効果が期待できます。
2) タミフルはAソ連型に耐性株が出現していますが、A香港型とB型には効果が期待できます。
3) シンメトレルはA香港型に耐性株が出現しB型にはもともと効果ありません。しかしAソ連型には効果が期待できます。

ですから、リレンザないしは、タミフルとシンメトレルを併用すると現在流行しているAソ連型、A香港型、B型のいずれにも効果が期待できることになります。これは世界的な傾向で、CDC(米国疾病予防管理センター)の暫定的な勧告でも、Aソ連型が考えられる場合には、リレンザが第一選択薬剤となっています。タミフルとシンメトレルの併用も選択肢の一つとされています。臨床的に使われている検査システムでは、A型とB型の区別はつきますが、ソ連型と香港型の区別はつかないからです。

今後もインフルエンザの耐性や流行している株の情報に注意しながら薬剤を選択していく必要がありますが、これまでのインフルエンザにはタミフルという図式は少し変更する必要があるでしょう。

<リンク>
厚生労働省:オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性のインフルエンザウイルスについて(中間報告)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0116-10.html
国立感染症研究所感染症情報センター:インフルエンザウイルス分離・検出速報
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3483.html
米国疾病予防管理センター(CDC):Seasonal Flu:Interim Antiviral Guidance for 2008-09
http://www.cdc.gov/flu/professionals/antivirals/index.htm