ぜんそくの検査、診断はどのように行われるのでしょうか。また、どのような症状があった場合、病院に行くのが良いのでしょうか。

ANA国内線ラウンジ誌「INOVATIVE VOICE」のインタビューでの5番目の質問です。

ぜんそくは気管支が狭くなることで呼吸がしにくくなる病気です。ですから気管支が狭くなっていることみる検査が重要になります。代表的な検査はスパイロメトリーです。この検査では、最大限息を吸い込み、次に思い切り強く吹き出します。気管支が狭くなっていると、息を強く吹きだす途中で詰まってしまい、気流速度が急激に落ちます。この流速の変化から、気管支が狭くなっているかをみることができます。
しかし、ぜんそくは発作性の病気ですので、発作時以外はスパイロメトリーの結果が正常であることも少なくありません。そこで、ぜんそくの診断は症状ベースに行うことが基本です。すなわち問診が重要です。喘息に特徴的な症状があるかに加えて、小児喘息の既往がないか、鼻炎などの他のアレルギー疾患がないか、血のつながった家族に喘息の方がいないかなど丁寧に聞き、これらがあればぜんそくの可能性が高くなります。また、ぜんそくは慢性疾患で咳やゼーゼーヒューヒューいうなどの症状が繰り返し起きます。ですから、これまでにも、季節の変わり目や風邪をひいた後などに、これらの症状があれば喘息の可能性が高くなります。診断でもう一つ大事なことは胸部レントゲンで異常がないことを確認することです。肺炎や心不全などでも喘息と似た症状の場合がありますが、胸部レントゲンで異常がみられることが多く区別できます。さらに、気管支を広げる喘息の薬が有効であれば喘息と診断できます。
ぜんそくと診断がついたら、次に重症度を評価します。これには、症状が落ち着いたときのスパイロメトリー検査が有用です。ぜんそくが慢性化すると症状がなくてもスパイロメトリーで異常がみられます。常に気管支が狭くなっていることを意味します。そのような場合は、大きな発作をおこす可能性や将来的に息切れが強くなる可能性が高いので、より慎重な治療が必要になります。
ぜんそくと診断されていない方の場合は、咳が長引いたり、ゼーゼーいったり、呼吸がしずらいなどの症状があれば、ぜんそくかもしれませんので一度病院に行かれるのがよいでしょう。すでに喘息と診断されている方で、慢性的に症状がある方は、定期的に病院に行って治療を継続する必要があります。症状が良くなった思っても、日々の吸入薬による治療をおこなっていないと、また症状が出て、時に大きな発作が起きることがあるからです。

他の質問へのリンク
(1)ぜんそくの症状とは、どのようなものなのでしょうか。
(2)発症するのは子供が多いイメージですが、大人でも発症するのでしょうか。
(3)ぜんそくは現代人に増えている疾患と言われますが、その要因は何でしょうか。
(4)症状を「コントロール」するとは具体的にどのようなことなのでしょうか。
(5)ぜんそくの検査、診断はどのように行われるのでしょうか。また、どのような症状があった場合、病院に行くのが良いのでしょうか。
(6)ぜんそくの治療のゴールと言うのはどのようなものになるのでしょうか。

2018年7月31日
医療法人上川路クリニック 院長 上川路信博
呼吸器内科・アレルギー科・内科
福岡市城南区茶山1-1-12